第三回にして
ごめん、ストックが尽きた!
本当は今日、一人の時間があって書ける予定だったのに、その予定が潰えた…!
とりあえず書けてるところまでアップしとけー。
まあこの話は半ば自己満足の話なので、誰に迷惑もかけないだろう…
という訳で昨日の続き。「リミットは月曜日!それまでに妄想吐き出さないとネ!でも書けるかどうか雲行き怪しいんだけどネ!」第三話です。
WJ激しくネタばれなので嫌な方はスル―。
ようやく本誌なぞるシーンが終わりました。
これから妄想爆発なのに―。書く時間を私に下さい…ううっ。
白い影が、ふたつ。
真直ぐに歩いてくる、ブラックホールのような――暗黒の渦。力が吸い取られていく。磁場が狂う――重力が加算する。
「……なによ……あいつら」
目が。
真直ぐに。
視線が合う――吸い取られる。
何もされていない。ただ視線があっただけだ。ただ見られていただけだ。ただ真直ぐに―― 一直線に、自分を。
それだけで吸い取られる。吸い尽くされる。
全てが。
希望も。
夢も。
ささやかな――
願いすら。
耐えきれずに膝を付くたつきに、自分を呼ぶ啓吾の悲鳴のような声が聞こえた。それに返事をすることもできない。消えそうな自我を必死で保つだけだ。自分の存在すら吸い込み吸収しようとする目の前の「何か」に全力で抵抗する。
「――大したものだ」
闇、とは違う。
そんな生易しいものじゃない。
闇すら存在しない。
その存在には何も存在しない。
虚無――否。
虚ろではない、それは。
真の「無」だ。
その恐ろしいまでの「無」が人の形を取って、たつきに近付く。右手に刀。その刀よりも目の前の男の存在が恐ろしい。
「此処まで近付いても存在を保っていられるとは」
感嘆する風を装うその声は、まるで珍種の蟲を評するような、そんな声だった。同等のものとは認めていない、遥か高みから見下す声。
ぼやける視界の中で、はっきりと目に映る底知れない瞳を見据え、たつきは震える声で「あんた……何」と口にした。
そのたつきの質問には答えずに、目の前の「無」はうっすらと笑った。全身から噴き出た汗が一瞬で凍る――恐怖に。
「黒崎一護は必ず此処へ現れるだろう。――新たな力を携えて」
一護。
その名前を聞いて、たつきは顔を上げた。驚愕しながら目の前の恐怖と視線を会わせる。
何故、一護の名前をこの男が言う?
「私はその力を更に完璧へと近付けたい」
目の前の「無」が手にした刀の切先が上がる。左目に真直ぐに突きつけられる。鋭利な銀の光。
「君達の死が――その助けになるだろう」
背景にある事情は知らない。それでも男の口にした言葉をようやく理解する。
一護を苦しめる為に、それだけの為に――この男は自分たちを殺すというのだ。
「――逃げろ、浅野!!」
たつきと同じように凍りついていた啓吾は、その絶叫に呆然と目の前の小さなたつきの背中を見詰めた。振り向いたたつきの顔色は青白く、滝のような汗がその蒼褪めた肌を伝い落ちていく。
「早くしろよッ!! あんたがここにいて何か出来んのかよ!!」
此処にいれば確実に殺される。路上に転がった自分たちの死体を見て、一護がどうなるか――
脳裏にはっきりと蘇る。
幼い日の河原。
表情をなくし、無言で母親を探して彷徨い歩く抜け殻のような一護の姿。
あんな一護を、もう、二度と見たくはない。
「早くッ!!」
悲鳴のようなその絶叫で、啓吾は全力でこの場から離れた。その姿を追う余裕はたつきにはない。男の前で跪き、恐怖に気が遠くなる意識を必死で引き止める。
みちるを助けなければ。
それだけを必死で考える。みちるがいなければ、とうにたつきの本能は恐怖から逃れるための自衛手段として意識を失っていただろう。
「追う必要はない」
背後のもう一人の男に向かってそう言うと、全ての希望を奪い取り代わりに絶望を分け与えるその男は、たつきに向かって足を踏み出した。土を踏む音すらしない。何もかもがこの男の前で平伏している。
「まずは――こちらからだ」
男が近付く。全身が震える。視線に雁字搦めに縛られて、瞬きすら出来ない。
――どうしよう。
恐怖に呼吸すらままならない。過呼吸のように小さく息を吸い続ける。自分の卑小さに絶望した。何も出来ない。指一本さえ動かせない。
どうしようどうしようどうしよう身体動かないどうしよう……っ!
橙色の。
不機嫌そうな顔。
―― 一護――
どうしたら――……っ!!
声なき悲鳴に応えるかのように、たつきの背後に突然誰かの気配がした。
(続)
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