小さな鳥
先日の話、なんですが。
店内に入ってきた女性のお客様の様子が明らかに変で、周囲を見回したり困った顔していて、うろうろしてるんです。
で、一応金融機関なものですから、挙動不審な方には一声かける慣わしで…「どうかなさいましたか」と一番近くにいた私が声をかけたんですよ。そうしたら、「あの、今外で拾っちゃって」と合わせていた両手を少しずらした中にいたのが、緑色の羽の小鳥でした。
「道路の真中でうずくまっていたから、あのままじゃ車に轢かれちゃうし…飛べないみたいで。大人しいから、誰かが飼っていた鳥かもしれないし。そしたら買主に返してあげたいし…でも会社につれていけなくて」と困ってたんです。で、その時手の隙間から小鳥が飛び出して、でも飛べなくて、滑空、って感じで床に下りててけてけ歩いてるんです。慌てて、思わず私が捕まえちゃったんですよね。「こらこら」とか言いながら近寄っても全然逃げなくて、そっと手で包んだら大人しく手の中に入って。
手の中に、本当にすっぽり納まっちゃうの。
暴れもせずに手の中でじっとしている小鳥。自分の手でその体温を感じてしまったら、こりゃもう如何にかしてあげなくちゃ、と思ってしまった。
会社に連れて行けない、でも買主が捜してるかもしれないから、という女性に「じゃあ私が動物病院と警察に行って来ますから」と言って預かりました。
女性上司が「今行ってきていいよ」と言ってくれたので(男の上司は休みだった)仕事中にもかかわらず近所の動物病院へ。ところがその日は定休日で、仕方なく断念。次は交番に、買主から連絡来てないかと思って(よくTVで逃げたペットのワニとかカメとか保護してるのでペットが逃げた家の人が連絡してくるものかと思い)交番に行って事情を説明したところ、鳥は預かれないということ。伝書鳩のように買主が特定できるものは保護して連絡するけど、何もない鳥は預かれない、それに多分その鳥はペットの鳥ではなく野鳥なので飼う事は出来ない、警察としては車のあまり来ない木のたくさんあるところに放してほしいとしかいえない、とのことでした。
お巡りさんが言うには、この小鳥は多分野鳥で、女性が拾った場所の近くに巣があって、そのすから落ちたのではないか、と。野鳥だったらまず生き延びない、今日のお昼までも持たないだろう、と。巣に返そうにももう人間の匂いがついてしまったから巣に返しても親鳥が嫌って結局死んでしまうだろう、可哀想だけどこの小鳥はもう如何しようもない、ごめんね、と言われてしまいました。
でも、私は自分の手で小鳥の体温感じちゃったんですよ。私の両手に収まってじっとしてる小鳥。じゃあ、って放せないじゃないですか。私の家では飼えないけど、でもそのまま放置も出来ない。
途方にくれつつ、仕事場に戻りつつ、思いついて中学来の友人Mに電話。家にいたので事情を説明し、とりあえず鳥の種類の特定をしてもらいました。このMは動物が子供の頃から大好きで、小動物は一通り飼っていたし、しかも全ての世話をきちんとして普通家庭で買われている小動物の平均寿命よりも長く育てている子で、今も捨て猫やらペットショップで売れ残って処分寸前の猫を選んで飼って育てたりと4匹の猫と暮らしてる本当の意味での動物好きな友人なんですが、この子がすぐに調べてくれて、やはりこの鳥は野鳥で「めじろ」だろう、とのことでした。一緒に食べるものも調べてくれて、メールで送ってきてくれた。感謝しつつ仕事場に戻り事情を上司に説明して、「とりあえず仕事終わるまで上に置かせてください」と言ったら了解してもらえました。
バイトの女の子が、小鳥用に大き目のダンボールで小さな窓を作って簡易鳥かごを作ってくれました。
そこにティッシュをつめて、飲むように水を入れた小さな入れ物を置いて、二階の静かで涼しい場所におきました。やっぱり暴れることなく、でもちょこちょこ動いて、水を飲んだり歩いたり、水を入れたコップに止まってこっちを見たり。
飛べない小鳥を放しても、車に轢かれるかもしれない。カラスに食べられちゃうかもしれない。猫に襲われるかもしれない。でも野鳥は飼ってはいけないことになっている、どうしよう、と、昼休みめじろのめーちゃん(命名)の隣で悶々としながら、とりあえず何か方法は無いかとケータイで(私のケータイはPCサイトが見られる)検索したところ、野鳥は飼ってはいけないけれど、野性に返すのを前提に、傷付いた鳥は保護してもいいとの文章を見てほっとしました。
それでもうちには鳥かごは無いし、家まで連れて帰るのも鳥が弱るかもしれない、さて、と考えていた時に、先輩が休憩室に入ってきて、「今〇〇さん(お客さま)が見えて、めーちゃんのこと話したら、元気になるまで預かってもいいよ、だって。〇〇さん、ずっと飼ってた小鳥こないだ死んじゃったって話してたの聞いてたから、だめもとで言ってみたんだけど、いいよ、だって。如何する?〇〇さん、昔から何羽も鳥飼ってるから詳しいし、鳥かごも餌も全部あるって言ってるけど」と。
感激しました。
そのまま〇〇さんのところに行って事情を話し、餌の話もして、それでも預かってくださるといってくださったので、めーちゃんを預けました。
翌日、〇〇さんの家を覗いたら、鳥かごの中で元気にしているめーちゃんが見えました。〇〇さんも仕事場に来て、餌を食べたとか話してくれました。
ですが、めーちゃん、死んでしまいました。
やはり野生の、しかも小鳥だったので、無理だったようです。
私の手の中で大人しかったのは、弱っていた所為なのかもしれない。飛べなかったのは病気だったのかもしれない。
お巡りさんは、巣から落ちたらもう助からないといいました。
どっかの文章で、巣から落ちた鳥を拾ってはいけないとも読みました。
でも。
私は、道路の真中でうずくまっていた鳥を見て、車に轢かれちゃうからと助けた女の人を悪いとも思えないし、私がその場にいてもそうしてしまうと思う。
めーちゃんは死んじゃったけど、本当はもっといい方法があったかもしれないけど、でも、私はめーちゃんを助けてくれた人たちに感謝したいと思います。
仕事場に持っていけないのに、思わず小鳥を保護してしまったお客様。
仕事中なのに、動物病院と交番に行くことを許可してくれた女性上司。
上に掛け合って小鳥を保護してくれないかと尋ねてくれて、駄目だって言われた後、何も出来なくてごめんね、といってくれたお巡りさん。
直ぐに鳥の種類と飼い方、餌を調べてくれたM。
小さな箱じゃ可哀想だからと大きいダンボールで篭を作ってくれたバイトの子。
小鳥を預かってくれそうな色んなお客さんに事情を話してくれていた先輩。
事情を聞いて、めーちゃんを預かってくれたお客様。
私の周りはいい人ばかりだな。
ありがとうございました。
安易に触っちゃいけないのかもしれないけど、でもやっぱり、車に轢かれそうな場所でうずくまってる小鳥を見たら、やっぱり私も助けちゃうと思うな。
写真はめーちゃん。Mに送ったときの写真。
私が野鳥保護に関して参考にしたサイトはこちら。
http://miz-miz-miz.hp.infoseek.co.jp/
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この記事へのコメント
小鳥さん
色々考えちゃいますよね
書き込みありがとうございました、私まだメールお返事もしてなくて…_| ̄|○お返事しようとすると朝早くか夜遅くなのでなかなか送信できません(笑)近い内に必ずお返事いたしますので…!
考えさせられます・・・
そしてお久しぶりです(笑)
都会にもメジロ居るんですね。
私の地元には結構普通にいる鳥で梅が咲く時期になるとよく花の蜜を飲みに花から花へ飛び回ってる姿をよく目にします。
>どっかの文章で、巣から落ちた鳥を拾ってはいけないとも読みました。
私は巣から落ちたツバメのヒナを3羽、
スズメのヒナも2羽育てて巣立ちさせた事があります。
いずれも巣に返すのが困難だったので持ち帰りました、私の場合は全て無事に育って巣立っていってくれましたが・・・
鳥にとってどちらが幸せなのかわかりませんが
私はとりあえず拾って帰っちゃいますね。。。
今は出張ばっかりで無理ですが・・・
このメジロは成鳥のようなので病気だったのかもしれませんね。。。
今回の件は司城さんの優しい気持ちが伝わってきました。
はやちゃんも元気そうでなによりです!
あ、バトンありがとうございます!!!
近いうちに答えさせて頂きます~
カンナさま
来てくださって嬉しいです。お身体の調子は如何ですか?日記で大量の薬を見て心配しました…!
メジロがいるという認識もなかったので、あの緑色の綺麗な鳥が野鳥だとは気付きませんでした…メジロって50円切手の鳥なんですよねー(豆知識)
>私は巣から落ちたツバメのヒナを3羽、
>スズメのヒナも2羽育てて巣立ちさせた
す、すごい!尊敬しますカンナさん!!
巣立ちのとき、淋しいですよね…ずっと育ててきた鳥を過酷な野生の世界へ戻すのもつらい!でも鳥のために涙を呑む…!
そう、鳥にとっての幸せ、それは私たちには知ることは出来ませんが、やはり私も拾って帰っちゃうと思います…。
いや、私は何にもしてないんですよね、ひとりだけ。えらそうな事言える立場じゃないんですよ…。
はやちゃん元気ですよー!女の子なのに飛び回って暴れるはやたら喰うわと大変です。しかし昨日、♂の元気くん誕生しましたので、大人しくなってくれるかもしれません(笑)
バトン、お受け取りありがとうございます!!
身体に気をつけてくださいね。